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分子科学国際共同研究拠点の形成(5ページ) 分子研リポート2014 | 分子科学研究所

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5-9 分子科学国際共同研究拠点の形成

分子科学研究所は,創設以来多くの国際共同研究を主催するとともに客員を始めとする多数の外国人研究者を受け 入れ,国際共同研究事業を積極的に推進し,国際的に開かれた研究所として高い評価を得ている。近年,科学研究の グローバル化が進み,また,東アジア地区における科学研究の急速な活性化の流れの中で,21世紀にふさわしい国 際共同研究拠点としての体制を構築することが急務となっている。

このような状況に鑑み平成16年度の法人化の際に,分子科学研究所は「物質分子科学」,「光分子科学」,「化学反 応ダイナミックス」の3つの重点分野について,国際共同研究の推進プログラムを独自の努力により試行し,分子科 学研究所を中心とした分子科学分野の国際共同研究の輪を広げる試みを開始し,分子研独自のプログラムを,自然科 学研究機構の国際学術拠点形成事業や日本学術振興会,日本学生支援機構の各種事業の支援も受けながら,国際連携 を強化している。

5-9-1 分子科学アジアコア多国間国際共同事業

21世紀はアジアの時代と言われている。とくに日本をはじめとする一部のアジア諸国では学術,産業,経済など さまざまな分野において既に欧米のキャッチアップを終え,第三の極を確立しつつある。分子科学においても欧米主 導の時代を離れ,新たな研究拠点をアジア地域に構築し,さらにはアジア拠点と欧米ネットワークを有機的に接続す ることによって,世界的な研究の活性化と新しいサイエンスの出現が期待される。

分子科学研究所では,平成18年度より平成22年度までの5年間にわたり日本学術振興会・アジア研究教育拠点事 業(以下「J S P S アジアコア事業」という。)「物質・光・理論分子科学のフロンティア」を展開してきた。J S P S アジ アコア事業においては分子科学研究所(IMS ),中国科学院化学研究所(IC C A S ),韓国科学技術院自然科学部(K A IS T ), 台湾中央研究院原子分子科学研究所(I A M S )を日本,中国,韓国,台湾の東アジア主要3カ国1地域の4拠点研究 機関と位置づけ,また4拠点研究機関以外の大学や研究機関の積極的な研究交流への参加を得て,互いに対等な協力 体制に基づく双方向の活発な研究交流を進めることができた。平成23年度からは上記 J S PS アジアコア事業の後継と して,分子研独自の予算による IMS アジアコア事業「東アジアにおけるポスト・ナノサイエンスを指向した分子科学 研究」(分子科学アジアコア多国間国際共同事業)を実施している。これは上述の J S P S アジアコア事業によって醸成 した IMS -IC C A S -K A IS T -IA MS 相互のパートナーシップをさらに発展させ,研究者交流を深めるためのプラットフォー ム的プロジェクトである。とくに平成24年度からは東アジアとの学術交流は,国内研究機関との学術交流や共同利 用と比較して時間的にも予算的にも大きな差異がないことから,東アジア地域との学術交流・研究会開催は原則とし て通常の共同利用における研究会申請において取り扱うこととし,発展的に取り扱われつつある。

平成25年度には中国科学院化学研究所(IC C A S )および台湾中央研究院原子分子科学研究所(IA M S )との国際交 流協定を更新し,また教育・研究集会として,平成26年2月に「T he W inter S chool of A sian-C ore Program(T aiwan)」 が IA MS のホストにより日本・韓国・台湾から 100 人超の参加を得て開催された。

平成26年度事業として平成27年1月中旬に総研大アジア冬の学校との連携のもと上記本事業ホスト国に加え,ひ ろくアジアからの参加者を迎えて『T he W inter S chool of S okendai/A sian C OR E Program “ R esearch and Its C hallenges in Molecular S cience: F undamentals and S tate-of-the-A rt” 』(http://www.ims.ac.jp/aws14/index.html)を開催した。

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5-9-2 東アジア若手研究者交流プログラム(E X O D A S S プログラム)

(1) 全体趣旨

本事業は,2008年より5年間,J S P S 並びに J A S S O によって実施された,東アジアサミット参加国より青少年を 日本に招へいする交流計画(J E NE S Y S プログラム)の後継プログラムとして,分子研独自事業として,2011年度よ り開始されたプログラムであり,今年度は第3期に相当する。次世代を担う若手研究者の計画的な交流により,アジ アを中心とした国々との研究者間のネットワークの形成・強化,当該地域における高度人材育成及び科学技術コミュ ニティの形成等が期待される。対象国は2012年度より A S E A N 加盟国,オーストラリア,ニュージーランド,インド, 中国,韓国,台湾となり,アジア・オセアニア地区の多くの若手研究者に門戸が開かれた。同種のプログラムはすで に通算9期目となり,分子研に定着した感があるとともに,東南アジア諸国にとっても,若手研究者における重要な キャリアパスのひとつとして認識されている。さらに2013年からは,別途,学術交流協定に基づく大学院生・教員 交流を行っていたチュラロンコーン大学,カセサート大学,マヒドン大学(ともにタイ)およびマラヤ大学(マレー シア)との交換プログラムを,本プログラムと一体で運用することになった。そのため,年々教育効果も科学技術コミュ ニティ形成への波及効果も向上している。

(2) 分子研主催プロジェクト課題について

プロジェクト課題名は,「『環境・エネルギー』基礎研究基盤の確立」である。

現代自然科学が解決すべき問題のひとつである環境・エネルギー問題において,東アジア諸国における自国での研 究開発を可能にするための基礎研究基盤の確立は極めて重要である。本交流事業においては,環境・エネルギー問題 に関わる基礎科学に関して,主として学位取得前後の若手研究者を広く招へいし,また本交流事業後のフォローアッ プとしての共同研究体制を確立し,自国における基礎研究の継続を力強くサポートすることで,基礎科学の定着を推 進することを目的にする。

分子科学研究所は,国際交流の重要性に鑑み,かねてより様々なチャネルを通じて国際共同研究,研究支援,教育 事業を推進してきた。本交流事業は,教育事業に特化した「アジア冬の学校」を研究者養成事業へと発展し,最終的 には,既に基盤研究機関が充実している極東アジア諸国間で形成している研究教育拠点ネットワークを東アジア諸国 へ伸展させる,橋渡し的事業となることが期待される。

(3) 実施状況

第4期では,原則として分子研の全ての研究グループを受入対象研究室として指定し,学術交流協定締結校におけ る公募を原則とした募集を行った。各候補者に対し,research proposal および帰国後の future plan の提出を求め,その 妥当性や将来性等に関して審査することにより決定した。今年度より,滞在期間の研究成果がより実りのあるものと するため,標準的な受入期間を6ヶ月とし,より厳選した参加者を招へいした。

今回は3カ国,23名の応募が集まった。書類審査を行った後,直接面接試験を行い,最終的に,2カ国7名を採 択した。内訳はタイ5名,マレーシア2名である。またキャリアの内訳は,教員1名,博士課程学生6名と,大学院 生中心の構成となった。

招聘は,2014年10月〜2015年3月にかけて実施され,各研究者に応じて,1〜6ヶ月の期間での研究プログラ ムが組まれた。また2015年1月に,全員の招聘者を一同に会し,全体会議とミニシンポジウムをアジア冬の学校と 共催で実施した。本プログラムの大きな目的のひとつとして,将来にわたるアジア分子科学ネットワークの形成があ り,各国の同世代の若手研究者の横のつながりを形成する上でこの全体会議の役割は非常に大きい。特に同種のプロ グラムであるアジア冬の学校との共催は双方の参加者にとって刺激になったようで,可能な限り,今後も共催を続け

(3)

ていくことが望ましい。

このように,本プログラムによってまかれた種は東南アジア諸国で確実に根付いており,アジア地域における分子 研のプレゼンスと分子科学ネットワークは確実に強化されている。本独自事業の E X OD A S S プログラムをはじめ,様々 なチャネルを利用して,今後の継続が望まれるところである。

5-9-3 分子研国際インターンシッププログラム(IMS -IIP プログラム)

これまでは院生などの長期研修生(インターン)の受入れを分子研国際共同プログラムや外部資金別に実施してき たが,外部資金がいつもあるわけではなく,長期的に研究所が実施する基幹プログラムとして位置付ける方向で平成 24年度に見直しを行い,平成25年度より分子研国際インターンシッププログラム(I M S - I I P)として事業化するこ とにした。平成25年度は31名,平成26年度の実績は表にあるように39名の受入れを行った。なお,半年以上の 研修生については特別共同利用研究員として受け入れて R A雇用をおこなうことにしている。E X O D A S S 事業での受 入れは3ヶ月未満を原則としていたが,今年度は J A S S O 海外留学支援制度(短期受入れ)を利用し,6ヶ月未満の 受入れを可能とした。現在は E X OD A S S 事業以外すべて分子研国際共同の予算を運用しているが,原則,可能なもの については外部資金への応募を進めながら,実施する予定である。なお,ここでは日韓共同研究に参加している院生 等は除外している。

フランス ドイツ

オースト ラリア

タイ 韓国 台湾 インド

マレー シア

カナダ 合計

国際交流提携先からの受入 6 2 8 1 2 19

その他共同研究による受入 3 1 1 3 4 1 13

E X OD A S S 5 2 7

合計 6 5 1 14 3 4 1 4 1 39

2014.4–2015.1

5-9-4 アジア学術セミナー(A s ian A c ademic S eminar)

アジア学術セミナーは,アジア諸国の若手研究者の研究活動強化を目的とした日本学術振興会とインド科学技術局

(D epartment of S ci ence and T echnol ogy)により開催されるプログラムである。日印の著名な研究者に加え,欧米の研 究 者 も 講 師 に 迎 え, ア ジ ア の 若 手 研 究 者 に 関 連 分 野 の 最 新 の 研 究 を 紹 介 す る こ と を 目 的 に, 第 一 回 の セ ミ ナ ー は,

“ Molecular S cience and Molecular Materials” をテーマとし1994年11月22日−12月2日にバンガロール(J awaharlal Nehru C enter for A dv anced S ci ence R esearch)で開催された。その後,科学の他の分野に関するセミナーが開催され, 2007年2月23日−28日に“ Molecular and S upramolecular Material with D esigned F unctions” をテーマとし,分子科学 分野に関する第二回セミナーがプネで開催された。

今回のセミナーでは,分光,理論,物質科学を中心に据え“ S tructure, D ynami cs, and F uncti onal i ty of Mol ecul es and M ateri al s” を テ ー マ と し た 分 子 科 学 分 野 に お け る 第 三 回 セ ミ ナ ー が 2015 年 3 月 5 日 − 10 日 に カ ル カ ッ タ I ndi an A ssociation C ultivative S cience および Indian Institute of S cience E ducation and R esearch で開催された(日本側組織委員は, 大峯(分子研),榎(東工大),岩澤(電通大),山本(分子研)および斉藤(分子研)。インド側は,R . N. M uk herj ee 教授(I I S E R ))。セミナーでは,インドからの18名の講師および日本,韓国,米国,フランスからの15名の講師に よる講演が行われ,インド,日本さらにアジア各国から募集した学生や博士研究員を中心とした若手研究者によるポ スター発表も行われた。

(4)

5-9-5 その他の実施内容

分子科学研究所では,国際共同研究の拠点としての役割を果たすため,国際研究会等や,著名な研究者を海外から 招きオープンセミナーを開催している。また,研究所内の教員による国際共同研究の提案を受け,所内委員による審 査を経て①海外の教授,准教授クラスの研究者の招聘,②若手外国研究者の招聘,などを伴う国際共同研究が推進さ れている。平成16年度7件,平成17年度10件,平成18年度12件,平成19年度10件,平成20年度9件,平成 21年度12件,平成22年度13件,平成23年度13件,平成24年度11件,見直し後は,平成25年度35件と推移 しており,平成25年10月から平成26年9月までの1年間は31件で,分子科学研究所の国際的な研究活動の活性 化に大きく寄与している。

また,総研大大学院教育では,国外の最先端研究室等への国際インターンシップを制度化しており(先端研究指向 コース),大学院生においても国際的な研究活動ができる環境である。

岡崎コンファレンス 1件(2014年度) ミニ国際シンポジウム 1件(2014年度) アジア連携分子研研究会 1件(2014年度) 海外からの研究者によるオープンセミナー 24件(2014年度)

(内 IMS ミニシンポジウム1件)

総研大生国際インターンシップ実績 3件

所属 インターンシップ先(国名) 日程

構造分子科学専攻 博士課程3年

グラスゴー大学(イギリス) 2014 年 9 月 29 日 –12 月 19 日(81 日間) 構造分子科学専攻

博士課程4年

ペンシルバニア大学(アメリカ) 2015 年 1 月 5 日 –3 月 30 日(84 日間) 機能分子科学専攻

博士課程5年

ス イ ス 連 邦 工 科 大 学 チ ュ ー リ ッ ヒ 校

(スイス)

2014 年 8 月 25 日 –11 月 13 日(80 日間)

国際共同研究 31件(2013.10–2014.9 実施状況)

代表者 研 究 課 題 名 相手国

斉藤 真司 過冷却水における多重動的転移 インド

江原 正博

励起状態の溶媒効果に関する理論研究: 摂動理論に基づく P C M - S A C - C I 法の開発

イタリア

江原 正博 電子移動励起の化学指標に関する理論研究 フランス

江原 正博 S A C -C I 法によるシンナメート誘導体の光物性に関する理論研究 タイ

江原 正博 多配置クラスター展開法の開発と応用 インド

江原 正博 大規模共役分子系の共鳴状態に関する理論研究:C A P-S A C -C I 法の開発 アメリカ 江原 正博 クマリンを基盤とするドナー・アクセプター型色素増感太陽電池の研究 タイ 江原 正博

Metal-Porphyrin: A Potential C atalyst for N2O D irect D ecomposition by T heoretical R eaction Mechanism Investigation

中国

岡本 裕巳 ハイブリッド金属ナノロッドのプラズモン特性 韓国

小杉 信博

バンドギャップ工学のための新奇ハイブリッド2次元ナノシートの電子 構造マッピング

台湾

小杉 信博 有機半導体デバイスの表面機能化と界面特性 台湾

小杉 信博 走査型透過X線顕微鏡(S T X M)によるモノリシックポリマーの評価 オーストラリア

(5)

小杉 信博

金属電析及び有機エレクトロクロミズムを理解するためのその場観測電 気化学セルの開発

カナダ

小杉 信博 自己組織化ナノワイヤーの巨大ラシュバ分裂 韓国

小杉 信博 液体のX線分光学 ドイツ

小杉 信博 電気化学のX線分光学 ドイツ

小杉 信博 S tudies of D rug Uptake into C ells and S kin ドイツ 小杉 信博 S kin Penetration S tudy of D rug C arriers Using S oft X -R ay spectromicroscopy タイ 解良 聡

E pitaxial Organic T hin F ilms of L arge A romatic Hydrocarbons S tructure and Physical Properties

ドイツ

繁政 英治 高分解能共鳴オージェ電子分光法による内殻励起分子ダイナミクスの研究

スウェーデン, アメリカ, フランス

繁政 英治 高分解能電子分光実験 フランス

平等 拓範 固体レーザーの開発

台湾,中国, ノルウェー

横山 利彦 新奇ハイブリッド2次元ナノシートの磁気特性 台湾

横山 利彦 Electronic and Magnetic Study of (RxT1–x)BO3 Oxides トルコ

横山 利彦 グラフェン,窒化ホウ素のX線磁気円二色性 台湾

西村 勝之 固体NMRを用いた合成高分子の構造解析 タイ

加藤 晃一 マルチドメインタンパク質の構造ダイナミクスの理論研究 韓国

鹿野 豊 弱測定理論の応用

イギリス, スウェーデン, 中国

山本 浩史 F abrication of C PW R esonator on a Pressure A nvil ドイツ

櫻井 英博 フッ素化バッキーボウルの合成と機能 ドイツ

櫻井 英博 高機能性ナノ触媒の開発と環境調和型プロセスへの展開 タイ

参照

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